赤ちゃんが生まれるとき、無菌状態の胎内から、
いきなり細菌やウイルスだらけの世界へ出てくる訳ですが、
生まれてすぐの赤ちゃんは、胎内にいたとき胎盤を通じて
母親の免疫をもらっていますが、まだ十分な免疫力は持っていません。
そんな無防備な赤ちゃんに免疫力を与えているのが母乳です。
赤ちゃんは、生後半年ほどは自分で免疫を作ることができません。
にもかかわらず、生後半年ほどの間はほとんど感染症に罹らないのです。
それは母乳(特に初乳)には母親が持っている抗体が高濃度で含まれており、
これがまだ十分な免疫力を持たない赤ちゃんを守っているからです。
赤ちゃんの体を防衛する母乳の成分
母乳の成分の中でも多く含まれているのが、腸管や気道粘膜での
細菌やウイルス感染を防ぐ抗体、免疫グロブリンA(分泌型IgA)という物質です。
もっとも外部から異物が侵入しやすい消化管や呼吸器官といった最前線で、
赤ちゃんの体を病原体から守っているのはこの抗体ですが、
このほかにも多様な抗体が、総合的に赤ちゃんの体を防衛しています。
また、母乳には抗体だけでなく、赤ちゃんの免疫機能を高める
下記の成分も含まれています。
ラクトフェリン
腸内の有害な細菌から鉄を奪い取ることで増殖を抑制します。
オリゴ糖
ビフィズス菌などの腸内の善玉菌を増殖させます。
ラクトペルオキシダーゼ
牛乳にも含まれる物質で、腸内に抗菌作用を持たせます。
リゾチーム
細菌の細胞壁の構成成分である多糖類を加水分解します。
補体
抗体の働きを補うタンパク質
母乳は、まだ自力で抗体を作れない赤ちゃんを感染症から守るだけでなく、
徐々に赤ちゃんの免疫力を育て、それに伴って成分濃度も薄くなっていくのです。
母乳はすばらしくうまくできた栄養ドリンクなのですね。
コメントを残す