冬場、インフルエンザの流行りやすい季節になると、手洗いとうがいが推奨されます。
また、普段から外出から戻ると、手洗いやうがいをする人も多いでしょう。
特に子供には習慣づけているご家庭も多いと思います。
しかし、手洗いもうがいも度が過ぎれば逆効果になってしまうのです。
私たちの皮膚の表面には皮脂膜があります。
これは皮膚から分泌される脂肪酸と、表皮常在菌が皮脂を食べることで
産生する脂肪酸が混ざり合ってできる弱酸性の薄いベールです。
このベールは細菌やウイルスの侵入を防ぐためのバリアの役目をしているので、
洗い流してしまうと、侵入を許すことになってしまうのです。
あまりに頻繁に薬用ハンドソープなどでゴシゴシ手洗いをしていては、
病気の予防どころか、病気を招くことにもなりかねないのですね。
これは手洗いだけでなく体も同じことで、
洗いすぎればやはり逆効果になってしまいます。
必要な皮膚常在菌まで殺してしまう
10種類以上ある皮膚常在菌のうち、正常な皮膚に最も多いのが表皮ブドウ球菌です。
この菌は酸性を好む菌で、皮膚にいる限りは病原性はありません。
病原体の侵入を防ぎ、肌をしっとりなめらかに保っているのは
この菌が働いているからなのですね、
それに対し、同じ皮膚常在菌でも黄色ブドウ球菌や真菌はアルカリ性を好む菌です。
病原性が高く、ふきでものなど化膿性疾患を引き起こすことがあります。
また、これらの菌はアンモニアなどを産生するため、不快な体臭の原因にもなります。
手や体を洗いすぎれば肌がアルカリ性に傾き、表皮ブドウ球菌が減り、
逆に黄色ブドウ球菌など病原性のある菌の繁殖を招いてしまうことになるのです。
- 体臭がきつくなる
- 細菌やウイルスに感染しやすくなる
と、いいことはまったくありません。
清潔を保つのはいいことなのですが、洗いすぎには注意したいものですね。
同じように、うがい薬を使ったうがいのしすぎも常在菌を殺すことになるので、
風邪などの兆候がない限りは、あまり使わない方がいいでしょう。
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